現世に希望を持たない男が来世の自分に向けて書くブログ

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私は現世に希望を持たない

 私は、気づいてしまった。いや、実はずっと昔から教えられていたのに耳を塞いでいたのかもしれない。この世界のシステムについて。

 私は、広島県の田舎に生まれた。建設業の家族経営をしている家族のもと、初めての男の子として爆誕した。生まれた頃の私は、両親に大切に扱われていたらしいが、9歳と7歳離れた姉がおり、リカちゃん人形の代わりができたと言わんばかりに雑に扱われていたらしい。そのせいなのか人にいじられるという習性を習得してしまった。そんなこんなで保育所に通うことになるのだが、今思えば保育所に通っていた頃が一番希望に満ち溢れていたのかもしれない。いや、「希望」ということばを知らなかっただけかもしれない。ただ今日という日を満足するまで楽しんでいた。

 小学校に上がると、たまたま近くの地域で生まれて、生まれた年がたまたま同じだった人たちと無理やり競わされるバトルロワイヤルに入れられた。ここでの勝利条件は、運動神経だ。スポーツができて、運動会のかけっこで勝てるやつが上位のカーストに入る。私は、必死でしがみつこうとサッカー部に入ったが、性格は捻くれているがサッカーがうまいだけの先輩や今まで友達としか見ていなかった仲間とレギュラーという椅子取り競争をやらされていることに違和感を覚えて、2年で辞めた。私はバトルロワイヤルの下位に落ちた。

 中学校では、運動神経に加えて、学力という条件が追加された。学力を上げるために塾に通い、授業もちゃんと受けていた。でもそんな自分を姉たちは揶揄した。クラスに一人はいただろう。授業中に窓の外をぼーっと眺めて、ノートも取らずにテストで満点をとるような子を。それが姉たちだ。

 まじめに学校に通っている私に、「ちゃんと学校通っている割には頭が悪い」という言葉を発した時、私は目が点になった。学校に毎日通うことが前提でその条件にクリアした次に頭の良し悪しが関係すると思っていた私にとって学校に通わずにテストで良い点数の取れる人がこの世の中に、いや、こんな近くにいたことが衝撃だった。それから姉(天才)たちと自分は別の生物だと捉えることにした。そして運動そこそこ勉強そこそこの私はバトルロワイヤルの中位にいた。

 高校でさらにコミュニケーション能力が加わった。というものの、要は世渡り上手なことだ。今まで競わされた運動神経、学力に加わって世渡り上手さの三つの三角形の綺麗さで競わされる。ここで幼少期からのいじられ習性が功を奏し、あまり大きくはないが綺麗な三角形を完成させた。ただ、めちゃくちゃ大きい三角形の奴がいた。保育所からの幼馴染の男の子。運動神経抜群、学力上位、リーダー格。その頃の自分はこのバトルロワイヤルの恐ろしさについてまだ知らなかっただけに、単純に尊敬していた。

 私は防衛大学校に行くことになった。急な展開だが、話が長くなるので簡潔に説明すると、高2冬に父親が倒れて、会社が倒産したが、大学に行くことを諦めきれず、探していたところ、タダで通えると聞いて試しに受験したら、受かったのだ。ここで私は、下位に転落した。ここで加えられたリーダーシップ能力と問題対処能力があまりにも低かったせいだ。私は世渡り上手さでなんとか切り抜けた。この時の4年間を私は4文字で「低空飛行」とまとめた。

 ここまで長たらしく過去について話したが、一つ間違いを修正したい。それは、このバトルロワイヤルの勝利条件についてだ。私は一つ一つ組織が大きくなっていくごとに勝利条件が増えるように思わしたかもしれない。申し訳ありません。真実を言います。幼少期運動神経が良く上位にいたものは、その恩恵としてリーダーという地位をもらいます。ここでコミュニケーション能力を向上させます。そして中学高校に上がると、その地位と能力を巧みに使い、学力を向上させます。すると、その恩恵として良い大学に行くという切符がもらえます。そこでは全国の上位カーストと競い合い、そこで勝ち残ったものだけが大企業就職という成功を掴めるのです。

 ここで言いたいのはバトルロワイヤルは勝ち続けないといけないということです。勝利条件が増えているのではなく、勝者が勝つごとに得られる恩恵を得られてない者がその差を自力で埋めなければならないということなのです。一度でも勝つとその恩恵として自転車を与えられます。一度も勝ったことのない私は、裸足で走っていました。もうここまで来ると差は大きく開いて縮まることはありません。

 部隊に配属が決まった時、違和感しかなかった。今まで勝者じゃなかった人間をいかにも勝者のように扱われることを。「防大卒なら将来安泰」、「頭が良い」、「将来はお偉くなる方」その言葉が自分に向けられたと分からず、聞き返して三度見。不慣れな場所で急に与えられたリーダーの地位。ここでいろんな恩恵を頂くが、今まで裸足で走っていた私には、自転車の前に靴下が必要なわけであってありがた迷惑なものばかり。周りと自分の中でのギャップは開くばかり。歯肉の策でサイズの合わない防具で装備を固めて頑張るが、できない自分に腹が立つ。周りを気にして武装し続けた結果、本当の自分を見失う。

 そして気づいた頃には勝手に涙が流れていた。寒くもないのに体を震わせ、誰にも見つからないところで、誰にも見つからないように身を潜めている自分がいた。この時死ななかったことを奇跡だと思う。突然の母親からの着信。まるで生まれた時の産声のように泣き叫んだ。「明日から休んでください」「いや、でも・・・」「あなたは病気です」約2週間くらいまともに寝れなかった。

 常にアドレナリンで目がバキバキ。それでもなんとか寝ようと酒を飲んで昏睡1時間程度。寝れてないなんて誰にも言えない。それが薬を飲んだらすぐ寝れるようになった。でも、起きたら職場、寝るまで職場にいて仕事、休みの日には体力回復と次の仕事に明け暮れていた私に、休みは苦痛だった。何もしたいことがない。起きるのがだるい。地獄。

 なんでこうなったんだろう。仕事に復帰して周囲に気を使われながら、定時出勤定時帰宅の身となった今考える。ぼーっと見ていたテレビから聞こえるキーワード「格差社会」、「スキル」、「ブラック企業」、「海外移住」、耳障りが悪い。「小さい頃から競わされ、ふるいにかけられてきたのはなんでだろう?」「それは資本主義だからじゃない?」はっとなった。そうだ。日本は資本主義の世界で全員を戦わせることで大きな利益を生み出そうとしているんだ。じゃあもういいや。何度戦ってもこのバトルロワイヤルからは抜け出せない。だから私は、現世で希望を持たないことにした。

ブログを書くことにした

 敗者の戯言など誰も耳を傾けない。聞くのは勝者の声のみ。だから敗者は口を紡ぐ。だが、せめて来世の自分が生きやすいようにここに文字を留めておこうと思った。最近よく転生もののアニメを見る。一度ネットフリックスで見たら、あなたのおすすめでいかにも「これが好きなんでしょ?」と言わんばかりに転生もので埋め尽くされたのだ。

 内容はだいたい現世での敗者が転生世界で勝者になる物語だ。現世での経験や知識は転生世界では役に立つらしい。多分来世の私は現世での記憶はないだろう。しかし、ここに記しておけば、来世の自分が目にする機会があるかもしれない。そしたら、転生ものの主人公のようにうまく生きれるのではないかと考えた次第です。

これからのこと

 ここには日常のふと疑問に思うことや悩みなどを綴り、答えを導き出そうと思います。たとえその正解がどうしようもないことでも来世の自分ならまだなんとかなると思うので。「たいぎいのーと」これは自分の地元の方言の「たいぎい」にノートをつけただけです。Googleでたいぎいと検索しても辞書みたいなのしか出てこなかったので、この名前にしました。ちなみに「たいぎい」とは、めんどくさいとか、だるいとか、しんどいなどマイナスな単語です。しかし、私が今までで一番好きな言葉です。たいぎいことを徒然なるままに記そうと思います。

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